日本内科学会雑誌
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慢性肝炎または肝硬変症を発端者とするAu抗原陽性者多発の9家系
小島 峯雄宮川 武彦福田 信臣安藤 喬若原 達男小林 寛治亀谷 正明高橋 善弥太
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1972 年 61 巻 5 号 p. 493-500

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抄録

Au抗原陽性慢性肝炎または肝硬変症を発端者とする家系を調査し,その結果9家系に家族的にAu抗原陽性者が高頻度に発見され,うち5家系には発端者以外にもAu陽性肝疾患患者または肝機能異常者が発見された.これらの家系内の感染様式は母から子へと考えられるものが最も多く,母親がAu抗原陽性であるとその子供は49% Au陽性であつた.また父から子,同胞内,同居における感染,夫婦共に陽性者なども認められた.これらの感染はAu陽性者との接触の機会が多く,かつ若年者であるほど高頻度のように思われた.これらの家系のうちAu陽性者とその両親,同胞,子供計66名を集計してみると, Au陽性者は40名(60%)で陰性者は26名であり, Au陽性の男性は18名中7名(39%),女性22名中11名(50%)に肝機能異常が認められたが, Au陰性男性14名はすべて,女性は12名のうち11名に肝機能は正常であつた.

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