日本内科学会雑誌
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点滴静注胆道造影,および低緊張性十二指腸造影よりみた胆道疾患における問題点
総胆管拡張と十二指腸憩室の意義
鈴木 紘一藤野 忠彦相馬 紀夫内藤 金三郎横田 曄
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1973 年 62 巻 1 号 p. 3-15

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抄録

過表2年間に経験した胆道疾患127例につき,点滴静注胆道造影(DIC)および低緊張性十二指腸造影(HD)の所見より臨床的考察を試みた.DICは胆嚢の造影率では経口法と大差はないが,総胆管の描出にはすぐれていて,73~100%に可能である.胆管に結石をもつ21例(切除後症候群を含む)中,11例(52%)に結石像を指摘できた.総胆管最大径の計測では,胆嚢結石では42%に,総胆管結石で93%に,胆嚢切除後症候群では100%に,胆管炎で80%に10mm以上の拡張を認めた.DICで胆嚢結石だけ認め,胆管には結石のみられない症例で,総胆管の拡張を示す例が42%あり,これらには,同時に十二指腸憩室(主に傍乳頭)を併有する頻度が高かつた.HD所見では,胆管に病変のある症例に,乳頭部の変化,例えば腫大像や変形像が多く認められた.また,膵炎の併発を示唆していると考えられている所見,すなわち棘状突起像や下膝部の円形化も胆管結石例で高頻度にみられた,傍乳頭憩室は,HDを施行した103例中22例(21%)にみとめ,そのうち20例は胆道疾患であつた.また,この胆道疾患では,乳頭腫大像を示したものが9例(45%),総胆管拡張を示したものが17例中12例(71%)で,この成績は,乳頭部変化のうち傍乳頭憩室の存在が腫大像と並んで,胆道疾患の診断に,また病因論的にも意義があるものと考える.

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