日本内科学会雑誌
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家族性に発症した原発性副甲状腺機能亢進症について
赤木 公博飯田 英紀中島 敏郎藤島 正敏尾前 照雄
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1973 年 62 巻 1 号 p. 47-53

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抄録

原発性副甲状腺機能亢進症は本邦では1970年末までに202例を数えるが,その家族性発症は志村らの姉妹2例の報告をみるにすぎない.われわれはその後,その姉妹例の兄に典型的な本症を経験した.家族性副甲状腺機能亢進症はhereditary endocrine adenomatosisの一部とする考えもあり,その遺伝形式はautosomal dominant modeと考えられている.この家系においては,発症してない5名のうち3名に高Ca血症およびparathormoneの上昇傾向が,また副甲状腺摘出術をうけた姉妹例は高Ca,低P血症の傾向とparathormoneの異常高値が認められた.文献上では再発例もみられており,その原因として遺伝性の生化学的因子の存在が考えられている.家族性副甲状腺機能亢進症では,家族全員に副甲状腺機能検査をおこない早期発見につとめること,また術後には再発の可能性があるため長期間の経過観察が必要であると思われる.

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