日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
右肺動脈上行大動脈起始症の1例
飛世 克之小林 毅館田 邦彦岸 不尽弥小野寺 壮吉朝比奈 紀久雄福井 勝信上田 満小笠原 四郎横井 敏夫小幡 恵一
著者情報
ジャーナル フリー

1973 年 62 巻 2 号 p. 154-160

詳細
抄録

右肺動脈上行大動脈起始症(origin of the right pulmonary artery from the ascending aorta)は右肺動脈が上行大動脈より直接分岐する先天性奇形であり,しばしば動脈管開存症を合併している.本症は比較的希な奇形であり,欧米では40例前後,本邦では9例の報告があるにすぎない.本邦例のうちそのほとんどが小児例であり,本例は25才であることから本邦最年長例と思われる.本例は右心カテーテルおよび逆行性火動脈造影にて右肺動脈が完全に欠損し,上行大動脈より直接分岐していることを確認した.本例はRosenbergの分類のtype IIである.さらに本例の臨床的所見について述べ,本症の発生学的要因および血行力学的状態についての文献的考察も行なつた。なお本例は現在経過観察中である.

著者関連情報
© (社)日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top