日本内科学会雑誌
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脳血管障害後遺症患者の血清benzylamine oxidase (BAO)活性
高松 滋水野 成徳逸見 一穂玉田 友一山田 悦輝竹川 弘美一柳 一朗菅原 英保柳 一雄村上 秀一吉田 順一
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1973 年 62 巻 5 号 p. 474-478

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抄録

脳血管障害後遺症の病態には中枢神経系をはじめ,骨格筋,心血管系などの異常が複雑に関与し合つている.われわれはこのような病態の解明に従来から,酵素化学的追究を続けてきた.今回はこの一環として患者および対照の健康人の血清についてbenzylamine oxidase (BAO)の活性測定を行なつた.患者の活性は対照に比べて有意に増加していた.これらの活性は患者の年令,病型,血圧・心電図異常の有無,発作後および入院後の経過月数によつて差がなく,日常生活動作テスト(ADL-T)値が良好な患者では高値を,腎機能が低下している患者では低値を示していた. BAOはmonoamine oxidase (MAO)の一種で,結合織代謝に関連があり,かつ,成長hormone,甲状腺hormoneなどの内分泌機能の影響を受けている.以上から,われわれは血清BAO活性の測定は本症の病態解明に有用であり,かつまた,患者の運動機能の回復には結合織代謝や内分泌機能の関与があるものと考えた.

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