日本内科学会雑誌
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高脂血症を伴つた急性アルコール性肝炎(Zieve症候群)の1例
鵜沢 春生柴田 洋三郎山中 正義
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1973 年 62 巻 8 号 p. 943-949

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抄録

Zieve's syndromeはLeslie Zieveによつてjaundice-hyperlipemia-hemolytic anemia症候群として提唱され, 1960年DurhamによつてZieve's syndromeと記載された.酒客が大酒を契機として来たす急性アルコール性肝炎の一つと考えられる.ここに報告すう1例は55才め男,酒客で大酒のあと高度の高脂血症(乳様血清,総コレステロール500,中性脂肪1200,脂質燐40.9各mg/dl),貧血,肝腫,黄疸および肝機能異常があり,入院.禁酒のみで約1カ月後にすべての異常は正常化した.肝生検電顕所見では内腔の嚢状膨大にリボ蛋白とおもわれる顆粒を多く含んだ滑面小胞体およびlysozomeの増加が著明で,明らかな脂肪滴はみられなかつた,高脂肪食,高含水炭素食の負荷で高脂血症はおこらず,焼酎(アルコールとして100g/day)投与で血清遊離脂肪酸と中性脂肪の増加が招来された.ヘパリン静注後血漿リポ蛋白リパーゼは正常であつた.高脂血症発生機構について論じた。

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