日本内科学会雑誌
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成長ホルモン作用仲介物質somatomedinにかんする研究の進歩
鎮目 和夫高野 加寿恵
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1975 年 64 巻 2 号 p. 99-113

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抄録

成長ホルモン(GH)の成長促進作用は直接的なものではなくsomatomedin (sulfation foctorまたはthymidine factor)を介するものである事は一般に認められている.本総説ではsomatomedin純化と化学構造,測定法,ヒト血中のsomatomedin値, somatomedinの生成機序,生物学的作用と作用機序について述べた,現在somatomedinは血清から抽出されており,その収量は数トンから数mgが得られるに過ぎない. somatomedinにはA, B, Cが存在し, A, Cは分子量約7,000, Bは約5,000のポリペプタイドとしてほぼ純化されている. somatomedin A, Cには軟骨へのsulfateやthymidineのとり込みを促進し,また脂肪組織に対してはインスリンと同様ブドウ糖の酸化を促進し, NEFAの放出を抑える作用があり,筋において蛋白合成を促進する作用がある.すなわちAとCはNSILA (non suppressible insulin like activity)と極めて類似の物質と考えられている.また, A, Cは本来別の物質なのが同一物質が純化の課程で二つの物質になつたものかは未だ不明である.一方somatomedin Bにはグリア様細胞やfibroblastにおいてDNAの合成を促進する作用がある. somatomedinの測定法としては以前は生物学的方法(軟骨への35Sや3H-thymidineの取り込みを測定する方法)が用いられていたが,最近は, somatomedin Aについては高野ら, CについてはMarshallらがradioreceptor assayを,またBについてはYalowがradioimmunoassayを報告している.これらの方法より血中somatomedinの測定bioassayによるより容易になつた.またsomatomedinは肝臓等で生成されること,肝細胞や脂肪細胞でadenyl cyclaseを抑擬することが認められている.

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