動脈硬化症の糖質代謝異常ならびに糖静注後の血漿FFA変動pattern (GFP)の発現機序および病態生理的意義を検討する目的で健者,動脈硬化症,糖尿病にブドウ糖20gの静注負荷を施行し耐糖能(K値), IRI,血漿FFA,血漿catecholamine (CA)を求め,またinsulin (0.05U/kg)の静注によるglucose assimilation index (GAI)を求めた.一方GFPに及ぼすβ受容体遮断剤(β-blocker)の影響をも観察した.動脈硬化症は健者に比べK値とGAIの低下を認め,最大ΔIRIの低下とIRIの分泌の過剰と遅延の傾向を認めた.冠および脳動脈硬化症との間にはK値の差はなく,後者は前者に比ベIRIの初期分泌とGAIとが有意の低下を示した.糖尿病は他に比べこれら諸値は著明な低値を示した.一方K値は最大ΔIRIおよびGAIとの間に正の相関を認めた. GFPはABCDの4型に分類でき, A型はFFAの下降相と上昇相との二相性からなり健常patternとみなしうる. B型は上昇相の抑制されたもの, C型はほとんど不変のもの, D型は軽度の上昇傾向を示すものである. AB両型のGAIはCD両型に比べ有意に高値を示し, IRIではBC両型はAD両型に比ベ後期分泌の過剰を認めた. A型を示す健者にβ-blockerを投与するとFFAの上昇相が抑制され,一方糖静注後のFFA上昇相に一致して血漿CAの増加する傾向を認めた.以上から動脈硬化症の耐糖能低下やFFA patternの異常はIRI分泌異常, insulin感受性低下,内因性CA反応の増強などによる可能性が示唆される.