日本内科学会雑誌
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His束ペーシングの臨床応用
望月 茂桐山 利昭角水 圭一和田 勝和多田 光朗礒田 次雄川西 康夫水谷 孝昭
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1976 年 65 巻 4 号 p. 311-317

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抄録

His束心電図記録に際して重要なことは, His東電位(H)のvalidationである.とくにHis-Purkinje系の伝導時間(HV)の定量的測定にはHのvalidationが必須である. Hのvalidationの方法としてHis束ペーシングが有用である. HとRB (右脚電位)の鑑別, His束内プロック時のH′(distal H)とRBの鑑別にはHis束ペーシングが有力である.われわれは左軸偏位を伴う右脚ブロック(RBBB+LAD)4例,房室ブロック6例, His束内ブロック1例, Wolff-Parkinson-White (WPW)症候群8例を含む30例でHis束心電図記録と同時にHis束ペーシングを行ない,その有用性を確認した.正常者群ではHis束ペーシング中,刺激波から体表面心電図のQRSの始まり迄(St-R)は正常洞調律時または心房ペーシング時のHV時間に等しかつた.同時記録した体表面心電図のすべての誘導でQRSの形,大きさ,持続時間は洞調律時と全く同じで変化しなかつた. His-Purkinje間の伝導時間(St-R)はHis束ペーシングのレートをかえても変化しなかつた. RBBB+LAD4例の内,洞調律時にHVの延長を認めた2例では, His束ペーシングのレート増加によりSt-Rは延長した.これは両脚ブロックを示唆する所見である. WPW症候群8例の内,いわゆるKent束の7例ではHis束ペーシング時のQRSはデルタ波を伴わず正常伝導型のQRSを示した.又,他の1例ではHis束ペーシング時のQRSはWPWパターンを示しいわゆるMahaim束の存在が示唆された.

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