日本内科学会雑誌
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IgG結合アミラーゼによる高アミラーゼ血症の1例
倉田 矩正重田 英夫
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1977 年 66 巻 2 号 p. 205-209

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抄録

29才の主婦が,反復性の下痢と体重減少を主訴として来院した.消化管,胆嚢,胆道系はX線検査上異常なし.消化器系の機能検査として, PS試験,各種糖質負荷試験,脂肪吸収試験を実施したが異常なし.血液生化学的検査は,総蛋白量,蛋白分画など正常で,血中アミラーゼ活性のみ5555 IU/lと異常高値を示していた.尿中アミラーゼ活怪は低値で,腎のアミラーゼクリアランスは0.067ml/minと低く,他方各種腎機能検査で異常は認められなかつた.患者血清をSephadex G-200によるゲル炉過で分画したところ, IgA, IgGを含む大きな分子量の部分に血清アミラーゼ活性の大部分が認められ, macroarnylasemiaと診断した.本症例の高分子アミラ-ゼの存在様式を検討したところ,アミラーゼがIgGと結合したために高分子のものになつていることがわかつた.その結合は還元剤では切れず, pH 3.4という条件下でアミラーゼとIgGにわかれた.また.患者アミラーゼは正常人IgGとは結合しないが,患者IgGは正常人アミラーゼとも結合して高分子アミラーゼを形成した.これらのことから,患者組清中に抗アミラーゼ抗体としてのlgGが何らかの機序で生じ,アミラーゼと結合して高分子アミラーゼを形成したものと考えた.

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