日本内科学会雑誌
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Multiple endocrine adenomatosis type IIの一家系例
山田 研一水谷 早苗尾世川 正明西川 哲男田村 泰山本 昌弘熊谷 朗
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1978 年 67 巻 12 号 p. 1555-1560

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抄録

Multiple endocdrine adenomatosis (MEA) type IIは比較的希な疾患である.家族性MEA type IIを経験し,内分泌学的検討を行なつたので報告する.症例1は, 10年前に甲状腺腫の摘出術を施行し,アミロイド沈着を認めた36才の女性で,冷汗・動悸発作にて入院.入院時,高Ca血症低P血症を呈し,副甲状腺機能亢進症および高カルチトニン血症を認めた.症例2は,同様に10年前に甲状腺腫摘出術を施行,当時より冷汗・動悸発作も認めた32才の女性で,症例1の妹である.入院時,血中Ca, Pは正常,甲状腺腫も認めなかつたが著明な高カルチトニン血症を呈していた.両症例にCa負荷試験を施行し,顕著な血中カルチトニンの増加反応を認めた.又尿中カテコラミン特にアドレナリンとその代謝物の増加が認められた.母親も両側甲状腺腫および冷汗・動悸発作を認め,約11年前に甲状腺腫摘出術を施行していた.両症例に,甲状腺全摘および郭清術を施行し症例1は甲状腺髄様癌および副甲状腺腺腫,症例2は甲状腺髄様癌を認めた.症例1は,術後5カ月目に頚部リンパ節腫脹を認め, Ca負荷試験で血中カルチトニンの増加反応を示したので,再手術を施行,以後再発をみていない.

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