日本内科学会雑誌
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溶連菌感染症に続発した結節性紅斑の2症例
藤田 信一杉山 達郎舟田 久森 孝夫原田 実根服部 絢一
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1978 年 67 巻 2 号 p. 172-178

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抄録

溶連菌感染症に続発したと考えられる結節性紅斑(EN)の2症例を経験した.両症例ともENは上気道炎に罹患後1~2週間に出現し,紅斑の出現とほぼ一致してantistreptolysin O値とantistreptokinase値の上昇がみられた.皮下結節の組織学的検索でもENの定型的組織像を呈していた.症例2では入院時に行なつた咽頭培養にてA群溶連菌8型が純培養状に分離された. PHAとstreptolysin O (SLO)の添加によるリンパ球幼若化反応を3H-thymidineのとりこみで,健康人を対照にして検討したところ, PHAによるstimulation index (SI)はENでは健康人よりも約50%低下していたが, SLOの場合にはEN症例で健康人よりもSIで1.5~3倍と高値を示したため,溶連菌感染症に続発したEN症例では, SLOに対する特異的細胞性免疫が成立していることが予想された.本症の治療はペニシリン剤と抗炎鎮痛剤の併用が効果的で,とくに重症例ではステロイドホルモンの投与が著効を呈すると考えられた.

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