日本内科学会雑誌
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α-Ketoglutarateを基質とした肝δ-aminolevurinicacid合成活性の異常高値を示したvariegate porphyriaの1例
児玉 龍彦高木 正雄小林 高義森 真由美千葉 省三大久保 昭行寺尾 寿夫小坂 樹徳浦田 郡平近藤 雅夫高橋 次雄
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1979 年 68 巻 10 号 p. 1293-1300

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抄録

Variegate porphria (VP)は,肝におけるヘム合成系の酵素異常を原因とし,神経,筋症状と共に皮膚症状を呈することが知られる.我々は四肢麻痺を示したVPの1例を経験し,肝におけるδ-aminolevurinic acid (ALA)合成活性の特異な上昇を証明した.症例は33才,女性で,第一子出産後,腹痛,嘔吐で発症し,フェノバール投与後四肢麻痺をおこし,同時に肝機能,電解質の異常を示した.皮膚の光線過敏,皮疹,および急性期に尿中ALA, porphobirinogenが上昇し,便中のcoproporphyrin, protoporpkyrinが寛解期にも高値を示したことからVPと診断された.肝性porphyriaには4型が知られるが,各病型と肝ヘム合成系の異常については不明の点が多い.そこで,本例の肝生検組織におけるALA合成活性をsuccinyl CoAを基質としたS活性とα-ketoglutarateを基質としたK活性について測定した. S活性はacute intermittent porphyria (AIP)例と同程度に上昇し, K活性はAIPやporphyria cutanea tarda例の2~5倍にあたる上昇を認めた.生検所見では肝には電顕所見で層状となつた膜様の特異な構造を認め,脂肪滴の沈着が見られた.これは従来の報告とあわせ肝性porphyriaに特異な所見と思われる.肝におけるALA合成K活性の特異な上昇は本例の多量のporphyrin体産生や,重度の神経筋症状に大きな影響を与えたと思われた. K活性はS活性より生理的なALA合成をよりよく反映すると思われ,これを中心に肝性porphyriaにおける酵素異常について考察した.

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