日本内科学会雑誌
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肝硬変における単クローン性免疫グロブリン血症の臨床的意義自験例6例の報告とその発生頻度
小嶌 興二坂本 忍高久 史麿久保田 一雄溝ロ 秀昭三浦 恭定山中 桓夫木村 健桜林 郁之介河合 忠
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1979 年 68 巻 10 号 p. 1301-1305

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抄録

肝硬変と単クローン性免疫グロブリン血症(以下M蛋白血症)との関係の有無を明らかにする目的で, 160例の肝硬変の患者の血清蛋白を調べた.この中で6例にM蛋白を認めた.この頻度は3.75%で一般人におけるM蛋白血症の出現頻度よりも有意に高かつた.この中1例では2種類のM蛋白を認め,また1例ではセルロースアセテート膜電気泳動法ではM蛋白は認められず,免疫電気泳動法によつて発見された.いずれの症例も多発性骨髄腫を疑わせる所見は認められなかつたが, 1例でその後M蛋白量の増加を認めた.しかし最も長期間経過を追つた症例でも2年しか経つていないので,今後これらの症例が多発性骨髄腫へ移行するか否か慎重に経過を観察する必要があると考える.

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