日本内科学会雑誌
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慢性Chagas病の1剖検例
堀尾 豊外村 洋一小野 忠弘徳臣 晴比古斉藤 裕子片岡 宏一郎中尾 宏勝屋 弘忠
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1979 年 68 巻 10 号 p. 1313-1318

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抄録

慢性Chagas病は本邦にて,未だその報告を見なかつたが,最近,我々は本病の1例を経験したので,ここに報告する.症例は62才,男性で, 21才時ブラジルに移住し農薬に從事していた.数年前より動悸,呼吸困難を自覚し,強心剤,利尿薬の投与を受けていた.入院前1週間頃より,夜間呼吸困難,動悸を自覚し,昭和52年7月20日に入院した.入院時は,毎分100の絶対性不整脈,心拡大,肺野ラ音,頚部静脈怒張,肝腫大,下腿浮腫を認め,重症うつ血性心不全の状態であつた.心電図上は,心房細動,右脚ブロック型心室内伝導障害を有しており,ジギタリス薬投与にて多源性心室性期外収縮の頻発を認めたので,電気的除細動を行ない洞調律に復した.心臓超音波検査にても,左心室後壁のAkinesiaと低心拍出性心不全の状態を呈していた.ブラジルでのMachado-Guerreiro補体結合反応陽性にて,慢性Chagas病と診断した.本例の重症うつ血性心不全はジギタリス薬,利尿薬などに抵抗性であつた.死亡前日より,心室頻拍の発作が頻回出現し, 38病日には,心室細動にて死亡した.死後剖検にて,心重量は740gであつた.組織学的には慢性間質性心筋炎と心筋線維内にTrypanosoma cruziのleishmaniaの巣が認められた.

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