日本内科学会雑誌
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Daunorubicin投与後に認められた爪の横縞状色素沈着に関する検討
花田 尚太田 義章宮崎 三弘依田 安弘田上 憲次郎阿部 帥
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1979 年 68 巻 10 号 p. 1319-1325

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抄録

抗腫瘍剤の投与により爪に色素沈着を生じることはすでに報告されており,最近doxorubicinによつてもしばしば認められている.しかしdoxorubicinと同じanthracycline系の抗腫瘍剤であるdaunorubicinではかかる副作用は1例の短報があるにすぎない.筆者らは急性白血病患者4例(15~29才,男1例,女3例, AML 3例, AL 1例)において, daunorubicinを含む多薬併用療法を施行したところ,治療時期に相当して爪に横縞状の色素沈着を認めた.この色素沈着はDOAP療法(daunorubicin, vincristine, cytosine arabinoside, prednisolone)では生じたがdaunorubicinをcyclophosphamideに切り換えたCOAP療法では出現しなかつたことからdaunorubicinが原因薬物と推測された.また1例においてはdaunorubicinをdoxorubiclnに切り換えた多薬併用療法によつても同様に爪の色素沈着を生じた.薬物投与量は1コースあたりdaunorubicin 75~150mg/m2, doxorubicin 45mg/m2であり投与約6週後に爪の近位部に色素沈着の出現を認めたが,他部位の色素沈着は生じなかつた.剖検時採取した爪の検索では横縞に相当してメラニン色素の沈着を確認した.以上の観察成績よりdoxorubicinに化学構造が類似したdaunorubicinによつても爪の色素沈着が生じるものと考察された.

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