日本内科学会雑誌
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サルコイドーシスの経過中橋本甲状腺炎を来した1例
大嶋 憲三羽山 恒人中江 遵義天野 雅敏
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1979 年 68 巻 12 号 p. 1585-1591

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抄録

サルコイドーシスにBasedow病や,又それより頻度は少ないが橋本甲状腺炎の伴うことが知られているが希であり,その際甲状腺内にサルコイド肉芽腫を認めぬ例も知られている.本報告は肉芽腫を甲状腺内に有しない橋本甲状腺炎を来した1症例であるが,この様な例は本邦報告中に見出し難い.近年はサルコイドーシスの病因に免疫が関与するとの見解が一般であるが,自己免疫疾患である橋本病との病因的関係に興味のある症例であつた.患者は29才の家婦で,経過観察中のサルコイドーシスのリンパ節腫脹の消失してゆく時期にmicrosome抗体の陽性であることを発見され, 2ヵ月後その値がさらに高くなる頃急速に甲状腺腫脹を来し,いわゆるリンパ球性甲状腺炎の組織所見を呈したが,その後甲状腺機能低下症状を続け, 1年後典型的な橋本甲状腺炎の生検所見を呈した.経過中,サルコイドーシスと甲状腺炎の病勢に関係をもちつつ,しかし病因的にはこの両疾患に直接的関係のないと思われる多発性の関節痛と皮疹の出没する事実があつた.

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