日本内科学会雑誌
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本邦で最初に確認したマンソン住血吸虫症の1例
難波 修西野 執木曽 宗昭成木 行彦大塚 幸雄白井 達男入江 実海老沢 功
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1979 年 68 巻 2 号 p. 196-201

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抄録

本邦で最初と思われるマンソン住血吸虫症の1例を報告する.症例は34才の男性.昭和51年12月エチオピアへ出張,ムイ川にて頻回に水浴を行なつていた.昭和52年4月より38°Cの弛張熱と下痢が約1カ月続き,原地病院でマンソン住血吸虫症と診断されたが無治療で帰国し,当内科に入院した.入院時現症は両鼡径部に小指頭大のリンバ節を触れる以外異常所見はなく,検便にて虫卵は認めなかつた.貧血や好酸球増加も認められなかつた.しかし,直腸生検にて多数の虫卵が認められた.虫卵は卵円形で側棘を有し,大きさは約140×60μmでマンソン住血吸虫卵と確認した.治療はniridazole lgを5日間投与したが,副作用として,頭痛,食欲不振,悪心が認められた.交通網の発達に伴ないマンソン住血吸虫症は本邦でも増加する可能性があると思われる.

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