日本内科学会雑誌
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X線写真上の大動脈石灰化初発像
伴野 祥一田中 敏行関 顕藤井 潤
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1979 年 68 巻 3 号 p. 298-301

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抄録

2年以内の間隔で,くり返し胸部と腰椎のX線検査を行ない,観察期間中に大動脈弓部およびその近辺(以下大動脈弓部と略)または腹部大動脈に新たに石灰化の出現した66例(男45例,女21例)につきその初発した年令,部位,形態について検討した.なお, 66例中4例では,大動脈弓部と腹部大動脈とに,ほぼ同時に石灰化像が初発した. (1)大動脈弓部に石灰化が初発したものは39例(男24例,女15例)であり,初発時平均年令は61才,腹部大動脈においては31例(男23例,女8例)に初発し,その初発時平均年令は63才であつた. (2)大動脈弓部における石灰化像の初発部位は,弓部左側壁と,上行大動脈左側壁に多かつた.腹部大動脈においては,第3腰椎から第4腰椎の高さが最も多く,前壁と後壁による頻度の差はみられなかつた. (1)石灰化の初発像は,大動脈弓部では細く淡い線状ないし,弧状の陰影であり,腹部大動脈では点状あるいは斑状であつた.

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