日本内科学会雑誌
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正常人の心拍出量,その年令別正常値とnormalizationの問題
香取 瞭石川 欽司林 健郎小橋 泰之大谷 昌平金政 健山門 徹田仕 雅洋大里 修一郎
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1979 年 68 巻 4 号 p. 379-388

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抄録

心拍出量の年令別正常値表を作製するとともに,体格の大きさによる心拍出量のnormalizationについて検討した.正常人151名,年令4才より78才,男性109名,女性42名を対象とし,二色法虚血式色素濃度較正法を用いたイヤーピース色素希釈法により空腹時安静背臥位の心拍出量を測定した.心拍出量は10才台半ばまでは身体の成長につれて増大するが,以後はほぼ直線的に減少した.体表面積で除して心係数(l/min/m2)として表わすと,心係数と年令との関係は10才前後で心係数が高値を示す者があるが,それを除くと心係数は直線的に加令につれて減少し, 15才以後の者124例についての相関関係は, r=-0.447, p<0.001, y=4.703-0.020x (y:心係数, x:年令)であつた.男女間には差をみなかつた.心拍出量と身長,体重,体表面積の関係をみると, 14才以下と15才以上では回帰式が著しく異り,成長期にある者では非常に高心拍出量であることが知られた,また心係数の表示法は身長,体重のみによるnormalizationよりやや勝ると考えられた. 1回心拍出係数は全年令を通して加令とともに直線的に減少した(r=-0.426, p<0.001, y=71.0-0.29x, y:1回心拍出係数, x:年令).以上の結果から,年令別心係数,一回心拍出係数の正常値を算出表示するとともに,加令による心拍出量の減少のメカニズムと意義を考察した.

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