日本内科学会雑誌
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水腎症と痛風腎症によりバゾプレシンに抵抗性となつた特発性中枢性尿崩症の1例
太田 耕造木村 時久松井 邦昭飯竹 一広吉永 馨
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1980 年 69 巻 12 号 p. 1655-1661

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抄録

症例は26才の男. 3才の時に中枢性尿崩症と診断され2回のウシ下垂体移植術を受けたが短期間で効果消失し,以後,無治療で過していた.昭和52年5月,右第1趾基節関節痛が出現,痛風の疑いで入院.血清尿酸9.0mg/dl,血清尿素窒素30mg/dl,血清クレアチニン2.8mg/dlと高値であつたが血清電解質は正常であつた.また, PSP 15分値0%, Ccr 60ml/min, CPAH93m1/min,さらにFishberg test 159mOsm/kgと腎機能障害を認めた.尿沈渣には多量の尿酸結晶を認め痛風腎症が疑われた. 1日尿量は3.3~7lで抗利尿ホルモン(ADH)投与後も尿量と尿浸透圧は変化せず,腎性尿崩症と診断した. DIPでは両側巨大水腎症,水尿管症および膀胱拡張が認められた.さらに血漿ADH濃度は脱水後でも測定感度以下で,かつ尿中ADH排泄量も低値であることから中枢性尿崩症が存続していることも確認された.後部尿道での尿通過障害に対して膀胱カテーテルを約2ヵ月間留置したところ,腎盂,尿管の著しい縮小が認められ,外因性ADHに対する反応性も回復してきた.現在, DDAVP 10μgの点鼻で尿量は2~3l/dに調節され,またアロプリノール投与により痛風発作はみられない.本例のように中枢性尿崩症に続発性の腎性尿崩症を併発する場合は,後者の改善を図つた後にADH補充療法を試みる必要があること,および中枢性尿崩症を確認するためにはADHの測定が不可欠であることが示唆された.

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