日本内科学会雑誌
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カンジダに起因すると考えられる過敏性肺炎の1症例
土橋 邦生中沢 次夫長沢 亨梅枝 愛郎稲沢 正士富岡 真一笛木 隆三小林 節雄
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1980 年 69 巻 5 号 p. 574-579

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抄録

カンジダに起因すると考えられた過敏性肺炎の1症例を経験したので報告する.症例は25才,女性,教員で昭和47年より毎年5~9月に発熱,乾性咳嗽,食欲不振をくり返し来院した.血沈亢進,白血球増加, CRP(〓), γグロブリン上昇が認められた.肺機能では,拡散機能の低下(% DLco 59.0),胸部X線像では両側下肺野に細網状陰影がみられた.各種アレルゲンを用いた皮内反応では,カンジダと多価細菌ワクチン(ブロンカスマベルナ)にアルサス型,遅延型反応が陽性であつた.また, Ouchterlony法を用いたゲル内沈降反応ではカンジダのみに陽性で,他のM. faeniやT. vularisその他の真菌類では陰性であつた,以上より本例は典型的過敏性肺炎であり,かつその起因抗原としてカンジダが考えられたので,これを用いて吸入誘発試験を施行した.その結果,吸入終了数時間後に咳嗽,発熱,呼吸菌難等の症状が再現され,肺に湿性ラ音も聴取された.また白血球増加,血沈亢進CRPの陽性化(〓)→(〓), %VCの低下を認め,またA-aDO2の上昇も認められた.一方, FEV1.0%は前値に比し不変であつた.吸入3日後にtransbronchial法にて施行した肺生検の組織像では,間質の細胞性肥厚,肺胞内および間質に肉芽腫形成がみられた.アレルギー的発症機序については, III型アレルギーの可能性が示唆されたが,本例はいわゆる夏型過敏性肺炎のアレルゲンとして,カンジダをも考えるべき一つの示唆を与えていると思われる.

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