日本内科学会雑誌
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骨畸型を伴つた17α-hydroxylase欠損症の1例
板津 武晴内藤 敬子松田 成器松井 信夫
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1980 年 69 巻 8 号 p. 960-966

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抄録

1966年Biglieriにより,原発性無月経・高血圧・低K血性アルカローシスを主徴とする17α-hydroxylase欠損症が初めて報告された.その後の報告の中で,男性例は仮性半陰陽を示すことが記載された.一般にDOC,コルチコステロンの異常分泌亢進,コーチゾル,性ステロイドの分泌低下と共にアルドステロソ分泌低下が認められる. Biglieri-Goldsmith型の男性仮性半陰陽4例と女性性腺機能低下症5例が,本邦でも報告されたが,希な疾患とされる.我々は, 17α-hydroxylase欠損に該当すると思われる女性例で種々の骨畸型(外反肘,右第4趾中足骨の短縮,胸腰椎側湾)を示した症例を経験した.従来の報告の中で高身長やosteoporosisについての記載はみちれるが,本症の如き骨畸型の合併についての記載はない.本症における染色体分析は, 46XXのKaryo typeであり,検出されるHLAは, A9・B31・B35・B52であつた.エストロジェンとプロゲステロンおよびデキサメサゾン(0.5~1.0mg/日)による2年間の治療経過中,身長の伸び(2cm)と体重の増加(10kg)と同時に両側大腿前面に横走する赤い皮膚伸展線を認めた.デキサメサゾンにより低K血症の速やかな改善がみられたのに比し,高血圧の十分な改善が得られなかつた.スピロノラクトンの併用により,血圧の改善がさらに認められ,その後になつて初めてアルドステロン分泌が正常化するのが観察された.

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