日本内科学会雑誌
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テタニーと痙〓を主症状とした低マグネシウム血症の1例
佐藤 賢士田浦 紀子森本 勲夫石丸 忠彦和泉 元衛宇佐 利隆
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1981 年 70 巻 10 号 p. 1427-1431

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抄録

症例は22才,女性.テタニーと強直性痙〓を主訴とし入院した.検査によつて著明な低マグネシウム血症(0.5~1.0mg/dl)と軽度の低カルシウム血症(7.5~8.2mg/d1)をみた.各種消化吸収機能検査および腎機能検査で異常は認められなかつた.しかし低マグネシウム血症にもかかわらず,尿中マグネシウム排泄は50~100mg/日と相対的に多く,低マグネシウム血症の機序は腎からのマグネシウム漏出によるものと推測された.低カルシウム血症の機序については,マグネシウムを経口的に或は経静脈的に投与して,血中マグネシウムを正常化させると血清カルシウムも正常化した.従つて,低マグネシウム血症に伴う二次的なものと判断した.また血中i-PTH値は低値であつたが, Mg負荷後i-PTHの一過性の上昇が認められた.一方Ellsworth-Howard試験では尿リン, CAMPともに正常の反応を示し,腎のPTH不応性は認められなかつた.このことより低マグネシウム血症に伴う低カルシウム血症は副甲状腺ホルモンの分泌不全が主な要因と考えられた.

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