日本内科学会雑誌
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慢性白血病像を呈した全身性肥満細胞症の1剖検例
安野 真紀子中出 泰充田中 正夫広田 豊原 一夫
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1981 年 70 巻 12 号 p. 1730-1736

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抄録

全身性肥満細胞症は組識肥満細胞が皮膚のみならず全身臓器に浸潤増殖する疾患である.全身性肥満細胞症の末期に白血病への移行,合併例は,希ながら報告があるが,それらは急性骨髄性白血病,急性単球性白血病,急性リンパ性白血病症例であり,または肥満細胞の白血化等の症例である.慢性骨髄性白血病との関連性を示唆した症例の文献は少なく,ここに報告した.本症例は, 72才,男性で,色素沈着を伴う丘疹が全身に及び肝脾腫を伴つた.皮膚生検で上記診断,後6カ月後白血球数増加し,末梢白血球数58900,芽球を含む幼若型骨髄細胞15~30%あり,脾腫,好中球アルカリフォスファターゼ低置, Vit B12高値と染色体でPh1陰性ながら慢性骨髄性白血病に極めて近以した所見を呈した.本例は,十二指腸潰瘍による出血で死亡したが剖検にて広範な臓器浸潤を呈した.最終的に全身性肥満細胞症と慢性骨髄性白血病の合併例という希な症例と結論した.

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