Phenylmethanolamine-N-methyltransferaseを用いた高感度酵素isotope法により,血漿norepinephrine (NE)を測定し,本態性高血圧症患者と正常者について交感神経系の状態を検討した.正常者のNE値は0.23±0.02 (SEM)ng/ml (平均年令42±2才),高血圧患者のNE値は0.25±0.02 (SEM)ng/ml (平均年令48±1才)であり有意差は認められなかつたが, 20代, 30代では高血圧患者で,また60代では正常者で有意に高いNE値を示した.正常者においてはNEは年令との間に有意の正相関を示したが,高血圧患者では相関を認めなかつた. 20分間の安静臥床により,最大血圧と最小血圧は有意に低下し,最小血圧の低下の程度が著しい者ほど高い安静時NE値を示した. 10分間の立位負荷試験により,正常者高血圧患者いずれにおいても最大血圧は有意の変化を示さず,最小血圧,心拍数, NEは有意に増加したが,これらの変化の程度は両群間に有意差を示さなかつた. treadmil1による亜最大運動負荷試験により,両群とも,最大血圧,心拍数, NEはいずれも有意の増加を示したが,最小血圧は有意の変化を示さなかつた.これら変化の程度は両群間に有意差を示さなかつた.以上より,若年高血圧症患者における交感神経機能の亢進と老年高血圧症患者における低下が推察され,また血圧変動性の大きな本態性高血圧症患者の交感神経機能は亢進していると考えられる.