1981 年 70 巻 8 号 p. 1132-1136
本例は27才,女性で,肝腫大,身体発育の遅延,易疲労性が存在し, glucose-6-phosphatase活性の低下を認め,それは凍結解凍処理, detergent処理によつても活性の増加は認められず糖原病Ia型と診断された.経過中TSHの分泌不全が認められたが他の下垂体前葉ホルモンの分泌予備能は正常であつた.その後,甲状腺機能低下の進行と,栄養状態の改善により,再びTSHの分泌を認めたため,一過性のTSH分泌不全と考えられた.以上一過性TSH分泌不全を伴つた糖原病Ia型について若干の検討を行ない,さらに文献的考察を行なつた.