日本内科学会雑誌
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悪性腫瘍患者における血清ribonuclease活性の診断学的意義
赤木 公博村井 宏一郎辻 博志方 建尾前 照雄山中 正義
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71 巻 (1982) 1 号 p. 37-42

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抄録

酵母RNAを基質として悪性腫瘍患者の血清RNase活性(mean±SD)を測定した. 1)アルカリ性RNase活性は膵癌19.8±6.5,その他の癌33.2±16.4,悪性リンパ腫24.2±6.1,白血病40.2±20.6,腎不全87.7±31.3単位で健常者15.5±2.3に比し明らかに高値を示したが,膵癌で特に高い傾向はみられなかつた.これらの増加した酵素活性は癌および腎不全患者でクレアチニン値と有意の正の相関を示した(P<0.05).また癌患者では5種類のアルカリ性RNaseのすべての分画に増加がみられたが,健常者と基本的には同一パターンを示した. 2)酸性RNase活性は健常者9.9±2.3,膵癌13.6±7.6,その他の癌18.7±7.8,悪性リンパ腫16.2±5.3,白血病87.6±88.9,腎不全53.7±22.2単位であつた.次にRNase活性の酸/アルカリ比(mean±SD)をとると,骨髄性白血病では2.00±0.73と健常者0.65±0.11に比し有意の高値が認められた(P<0.001).しかし悪性リンパ腫,膵癌およびその他の癌患者では健常者とこの比に差異はみられなかつた.以上の結果より,血清アルカリ性RNase活性の上昇は疾患特異性に乏しいため膵癌およびその他の癌の診断,さらにはその進展を知る上で必ずしも有用なmarkerとはなり得ないと考えられた.癌患者における上昇機序の一つとして血中酵素の尿中への排泄障害が示唆された.また本酵素は血清GOTや, LDH活性と相関を示さないことから,組織破壊による逸脱酵素ではないと考えられた.一方,酸性RNase活性は,骨髄性白血病で特異的に増加するため,血清RNase活性の酸/アルカリ比をとることは本症の診断に極めて有用であると考えられた.

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