24時間心電図記録による抗不整脈薬の評価に一定の基準を作成することを目的として, 2回の24時間心電図記録にて, 1日1000個以上の心室性期外収縮を有し,抗不整脈薬の投与をうけていない患者45名を対象に24時間心電図を連続2日間記録し,期外収縮出現頻度の日差変動を回帰分析法を用いて解析するとともに,同一記録の任意の時間帯における1分間, 3分間, 1時間,および8時間に出現する期外収縮数の日差変動とも比較検討した.結果: 1) 2回の記録における期外収縮数の再現性では, 24時間心電図(r=0.953)が最も優れており, 8時間(r=0.870), 1時間(r=0.578)と記録時間が短くなるにしたがつて再現性は低下し, 3分間(r=0.022), 1分間(r=0.126)などの短時間心電図記録では, 2回の記録における期外収縮数に有意の相関が認められなかつた. 2)心室性期外収縮の日差変動の95%および99%信頼限界は, 24時間心電図で47%および56%, 8時間心電図で64%および73%, 1時間心電図で90%および95%であり, 3分間および1分間心電図による薬物の評価は不適当と考えられた.以上の成績より, 2回の24時間心電図記録にて, 1日1000個以上の心室性期外収縮を有する患者を対象とした場合,薬物投与前後各1回ずつの24時間心電図記録で50% (95%信頼限界)または60% (99%信頼限界)以上の期外収縮数の減少を薬剤有効性の基準として提案する.