日本内科学会雑誌
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異型狭心症,安静狭心症,不安定狭心症に対するカルシウム拮抗薬の効果なかんずくnifedipineを中心として
岸田 浩大津 文雄草間 芳樹畑 典武高山 守正佐々木 煕之宗像 一雄早川 弘一木村 栄一
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1982 年 71 巻 4 号 p. 431-437

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抄録

カルシウム拮抗薬,特にnifedipineの効果を,異型狭心症(VA) 64例, ST降下を示す安静狭心症(RA) 33例,不安定狭心症(UA) 113例を対象として調べた.薬物療法を行なつたVA47例中25例にnifedipineを使用,有効率88.0%,カルシウム拮抗薬全体の有効率は87.1%であつた.カルシウム拮抗薬以外の薬の有効率は56.3%で,両者間に有意の差があつた. RA19例に薬物療法を施行,カルシウム拮抗薬は80.0%に有効,他の薬は44.4%であつた.冠造影所見と対比すると, nifedipineは冠動脈に著明な狭窄なきVA5例すべてに有効, 75%以上の狭窄例では18例中15例(83.7%)に有効であつた. RAは全例多枝病変を有し, nifedipineは80.0%に有効であつた. VAのうち運動負荷試験にてST上昇をきたした例では, nifedipineは83.3%に有効,一方,安静時のみにST上昇を呈した例では全例に有効であつた. UAではnifedipine導入前における薬物の有効率62.5%に対し,導入後では79.4%に上昇,心筋硬塞への進展率は導入前25.0%に対し,導入後17.6%に低下した. UAのうち, VA型ではnifedipineは92.9%に有効であつたが,冠動脈狭窄枝数の増加に従い,有効率は低下した. RA型の有効率は70.0%であつた.以上よりカルシウム拮抗薬はVAのみならず, RAおよびUAに対しても有効であると判定された.なおRAおよびUAにおける冠スパスムの役割について,上記成績にもとづき考案を加えた.

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