日本内科学会雑誌
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Accidental hypothermiaの7例
岡田 道雄島井 新一郎古守 泰典菊池 春人久保 明高木 誠高橋 幸則西村 文朗荒川 正一渥美 義人
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1982 年 71 巻 4 号 p. 497-501

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抄録

Accidental hypothermiaの報告は我国では調べる限り見当たらないので,我々が過去3年間に経験した高度(直腸温で25°C~26°C)な低体温を示した症例7例を報告する.多くは浮浪生活者で,全身衰弱あるいは急性アルコール中毒のため路上などで動けなくなり,寒冷にさらされて低体温になつたものであつた.入院時所見としては,意識障害,徐脈,脈拍微弱,血圧低下および対光反射の鈍麻などが特徴的であつた. 1例を除きアルコール中毒以外の合併症を持つていた.治療は25°Cまでは電気毛布で, 25°C以後は普通の毛布で保温し,合併症の治療を行なつた.体温は1例を除き7~16時間後に正常に復した.死亡例は2例で,他の報告に比べ良い成績であつた.検査成績では心電図で, J波の出現,筋電図混入,心房細動の出現,徐脈傾向が,血液検査成績で, GOT, LDH, CPKの上昇,血清アミラーゼの上昇,好中球の左方偏位等が特徴的であつた. accidental hypothermiaは,けつして希な疾患ではなく,体温が35°Cより上昇しない場合,電子体温計などで体温を確認し,その発見につとめるべきと思われる.

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