日本内科学会雑誌
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急性心筋硬塞における血清CK-MB (creatine kinase MB)活性を用いた硬塞量のearlyprediction
鵜澤 龍一石井 暢
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1982 年 71 巻 6 号 p. 778-786

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抄録

急性心筋硬塞28例(男性24例,女性4例,平均年令58才)を対象とし,心筋硬塞発症後経時的に求めたCK-MB (creatine kinase MB, EC 2. 7. 3. 2)活性を用いて硬塞量のearly predictionを行なつた.そして求めたpredicted infarct size (p-IS)と, observed infarct size (o-IS)との比較検討を行ない,さらに種々の臨床検査所見との比較検討を加え,硬塞量のearly predictionの臨床的意義について検討を行なつた.その結果,下記のごとき結論を得た. 1) P-ISとo-ISの間には良好な相関関係が認められた(r=0.951). 2) CK-MB活性は筋肉内注射をはじめとする医原的操作による影響を受け難いため, CK-MB活性によるp-ISは総CK活性によるp-ISよりも正確な硬塞量推定が期待できる. 3) p-ISとGOT, LDH等の血中諸酵素活性ピーク値,心電図, Tl-scintigramおよび肺動脈拡張終期圧等の各種臨床検査所見との間には有意(p<0.01)の相関関係が認められ, p-ISは心筋硬塞の重症度判定の指標として有用である. 4) CK-MB活性は心不全の影響を受け難く, CK-MB活性を用いたp-ISは心不全合併群と非合併群の間に有意差(p<0.05)を認めない. 5) p-ISによる硬塞量推定は,初発症例でのみその意義を有し,再発症例では血中酵素を用いて硬塞量を推定するのは目下は不可能である.

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