日本内科学会雑誌
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心筋硬塞のリハビリテーション
入院中のリハビリテーション・プログラムの検討
丸岡 隆芳藤田 良範長谷川 武志桑原 敏樹内田 宏子新村 与平林 正博内島 弘新谷 博一
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1982 年 71 巻 7 号 p. 941-949

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抄録

心筋硬塞患者の入院中リハビリテーション(リハ)プログラムについて検討した.最初3日間絶対安静,その後廊下歩行,階段昇降を利用し負荷量を漸増し, 8週間で1日2~3km歩行と階段20段昇降数回を目標とするプログラム(旧プログラム)と, 4週間で同等以上の負荷量に達することを目標としたプログラム(新プログラム)による成績を比較検討した.新プログラムにより45日以内にリハ目標に達した例は2.6%から30.0%に増加し,約半数が60日以内にリハ目標に達し,逆にリハ目標に達しない例は減少傾向を示した、また臥床期間,離床から退院までの期間も短縮可能となり,平均入院期間も110.6日から69.5日になつた.リハが早く進んだ例は若年例,入院時Peelの予後指数の低い例が多い傾向を示した.新プログラムにより,リハをはやく進めても心不全,狭心症,不整脈,再発作等重大な心合併症は増加せず,むしろ減少傾向を示した.入院中リハが順調に進み,早期にリハ目標に達した例の社会復帰率は新旧プログラムともによかつたが,長期間入院を必要とした例では新プログラムの方がよい傾向を示した.発作後1年以内の死亡率も12.4%から7.1%に減少し,欧米の1~2週間のプログラムに比べても少ない傾向を示した.このことは4週間程度の入院期間は患者教育,指導の面からみても必要であり,現時点では4週間位のリハプログラムが適当であると考えられる.

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