日本内科学会雑誌
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血液透析中に発症した出血性肺炎の2症例
塚本 玲三野村 正征則末 栄巳柴垣 昌功福井 俊夫桑島 実関口 進
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1982 年 71 巻 7 号 p. 972-976

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抄録

びまん性肺出血は,全身性エリテマト-デス, Goodpasture症候群,急速進行性糸球体腎炎などのように腎障害に伴つて発症することが多い.しかし,慢性腎不全患者の血液透析中にびまん性肺出血を発症し,急速に死亡した症例の報告は過去にみあたらない.我々は,漫性糸球体腎炎の末期状態で血液透析中にびまん性肺出旗を発症し,急速に死亡した2症例を経験したので,その発症機序について若干の考察を行なつた.この2例に限つてびまん性肺出血を起こした誘因としては,第1例では大量のprocainamideの投与と心不全の合併,第2例については大動脈症候群の合併が考えられる.いずれも肺組織に著明なIgGの沈着を認めたが,これは正常肺にも認められることでもあるために特異的な断見とは言えず,さらに検討を要する.また, 2例共,急速に呼吸不全状態に陥り,わずふ2~3週間の経過で,いわゆる成人呼吸窮迫症候群で死亡しており,治療法についても今後の検索が必要と思われる.

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