日本内科学会雑誌
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Late onset hypo-γ-globulinemiaの1例
リンパ球の機能についての検討を中心に
袖山 健宜保 行雄赤羽 賢浩清沢 研道長田 敦夫古田 精市川合 博
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1982 年 71 巻 9 号 p. 1294-1300

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抄録

Late onset hypo-ϒ-globulinemiaで, WHO分類によればvarlable immunodeficiency (VID)に属する1症例を経験したので報告し,併せてその免疫不全の成因の機序について検討した成績を報告する.症例は22才,男性で,幼少時は頻回に上気道感染に罹患. 4才7ヵ月時ポリオ生ワクチン接種後に左上下肢の麻痺が出現.その後は著明な感染症なく経過. 22才時,整形外科手術前の血清蛋白電気泳動図上ϒ-globulin分画が欠損していることを指摘され,精査のため当科へ紹介された.血清総蛋白量は6.0g/dlとやや低値で, ϒ-globulinは0.09g/dlと著減,血清免疫globulinはIgG, IgA, IgM, IgEともに著減していた.骨髄,直腸粘膜の形質細胞数は著しく減少し,同種赤血球凝集素価も低値で, PDTワクチン刺激に対する抗体価の上昇も認めなかつた.遅延型皮内反応は陰性,血中リンパ球数は正常であるがB cell数は減少していた.さらに, PWM添加培養後のヒツジ赤血球に対する抗体産生能の低下を認めた.これらの検索の結果,本症例の発症機構としては, B ce11数の減少およびB cellの障害があり,かつT cellの異常も同時に存在しているものと考えられた.

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