日本内科学会雑誌
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肝内動静脈瘻を伴い肝性脳症を起こしたRendu-Osier-Weber病の1例
酒井 洋竹沢 信治青山 邦夫服部 孝夫小林 逸郎小久江 浅二横田 修
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1983 年 72 巻 1 号 p. 90-96

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抄録

症例は68才の女性.慢性鉄欠乏性貧血の精査目的に入院.入院時高度の低色素性貧血を認め,便潜血持続陽性.口唇,舌に血管腫あり.胃内視鏡検査で胃内に多発する血管腫とその部位よりの出血を認めたため, Rendu-Osler-Weber病と診断した.入院後長期の便秘を契機にして肝性脳症をおこしたため,門脈-大循環系シャントの存在を疑い選択的腹部動脈撮影を施行したところ,肝内動静脈瘻と胃十二指腸動脈一門脈瘻を認めた、肝内動静脈瘻を伴うRendu-Osier-Weber病は,今までに本邦では本例を含めて5例報告されており,うち4例に肝性脳症を, 2例に慢性消化管出血を認めている.本例の肝性脳症の原因としては,肝内動静脈瘻によるシャント,慢性消化管出血と長期の便秘による腸管内のアンモニアの産生の亢進を考えた.

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