日本内科学会雑誌
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肝炎を合併した急性心筋炎の1例
広瀬 昭憲塚田 勝比古高田 善介奥谷 博昭藤野 信男岡本 光弘伊藤 誠武内 俊彦寺尾 直彦増子 和郎
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72 巻 (1983) 5 号 p. 600-605

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抄録

著者らは,ウイルス性の心筋炎と肝炎が同時発症したと思われる症例を経験したので報告する.症例は34才の看護婦.昭和56年2月22日より発熱, 28日より悪心,嘔吐出現し3月4日当科へ入院.入院時血圧は触診にて収縮期圧80mmHg,中心静脈圧は28cmH2Oであった.胸部聴診所見では湿性ラ音およびIII音, IV音を聴取した,胸部X線所見では心陰影の拡大と両側に胸水の貯留を認めた,心電図では洞性頻脈, R波の減高, T波の平低化を, UCGでは左室腔の拡大と左室駆出率の低下を認めた.血液検査では血沈1時間値9mm,血小板25000,プロトロンビン時間18.2秒,フィブリノーゲン129mg/dl, FDP40μg/dl, GOT2800単位, GPT1900単位, LDH9400単位であつた.以上より心不全,うつ血肝, DIC症候群を合併した急性心筋炎と診断.強心薬,ステロイドホルモン,ヘパリン療法を行ない著明に改善したが,トランスアミナーゼは遷延した.第44病日に施行した肝生検では実質内の巣状壊死,好酸体,星細胞の増生を認め,急性ウイルス性肝炎の回復期の所見であつた.本症例はウイルスは同定できなかつたが,肝生検像および臨床経過より同一ウイルスにより心筋炎,肝炎, DIC症候群が惹起されたものと考えた.なお臨床上急性心筋炎と思われる症例でトランスアミナーゼ高値例や遷延例は肝炎を合併している可能性があり,うつ血肝と肝炎を的確に鑑別する上でも,積極的に肝生検を行なうことが大切と思われる.

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