日本内科学会雑誌
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多断面連続心電図同期心X線computed tomography (CT)法の臨床応用に関する研究
佐久間 一郎
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1983 年 72 巻 6 号 p. 761-771

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抄録

本研究の目的は多断面連続心電図同期心X線CT法により心機能各種パラメータ算出を試み,左室造影法およびRI法による数値と比較することにより本法の心機能評価における臨床的有用性を検討することである.対象は各種心疾患44例である. Siemens社製Somatom 2を用い,ガントリー角を20度尾側に傾け,造影剤漸減持続静注下に8mmスライススキャンを4回行なうことによる心電図同期X線CT法を,連続した8~12断面において繰り返した.拡張終期および収縮終期像よりSimpson法に準じ各種パラメータを算出した.本法と左室造影法との間では左室拡張終期容積でr=0.90,左室収縮終期容積でr=0.96,左室駆出分画でr=0.88,左室心筋体積指数でr=0.91の良い正相関(すべてp<0.001)が得られた.本法とRI法との間では左室駆出分画はr=0.96,右室駆出分画はr=0.89の良い正相関(どちらもp<0.001)を示した.本法による各種心疾患別の数値では各種パラメータがそれぞれ特徴的な値を示し,各疾患における病態把握に有用な情報を提供すると考えられた.本法では時間分解能,造影剤による心機能への影響,心室内腔境界決定法,放射線被爆量等に若干の問題を残すものの,非侵襲的な1回の検査で左右両心機能および左室心筋体積計測が一度に可能であり,本法の臨斥的有用性は非常に高いと考えられた.

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