日本内科学会雑誌
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胃癌を合併したcommon variable hypogammaglobulinemiaの1症例
満屋 裕明大崎 和弥桜井 健一松下 修三高月 清岸本 進
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1983 年 72 巻 6 号 p. 813-819

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抄録

13才頃から主として呼吸器系の感染を繰り返し, 22才時,尿路感染から尿道直腸瘻を形成したcommon variable hypogammaglobulinemiaの症例を経験した.血清免疫グロブリンはIgG 6mg/dl, IgA 19mg/dlと著明な低値を示したが,末梢血リンパ球(PBL), T細胞, B細胞の数はほぼ正常であつた. pokeweed mitogen刺激による免疫グロブリン(Ig)産生試験では患者のPBLはIgG, IgA, IgMのいずれも全く産生せず,正常T, B細胞との混合培養試験で, IgG, IgA, IgMの全クラスのB細胞の分化成熟障害とアイソタイプ非特異的な放射線感受性のサプレッサーT継胞活性の増強のあることが明らかになつた.患者PBLのマイトゲン反応性は正常PBLのほぼ半分に低下しており,遅延型過敏反応も欠如していた.尿道直腸瘻は技生物質投与とヒト免疫グロブリンの補充によつて治癒したが,経過中に胃癌(moderately differentiated tubular adenocarcinoma)の合併が判明し,全摘を試みたが果たせず,遂に死亡した.原発性免疫不全症と発癌について考察を加えた.

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