日本内科学会雑誌
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肥大型心筋症と高血圧心における拡張早期時相分析からみた心肥大の特性
浜田 希臣松崎 圭輔風谷 幸男重松 裕二加藤 正和土井内 純治越智 隆明伊藤 武俊国府 達郎
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1983 年 72 巻 8 号 p. 1013-1019

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抄録

肥大型心筋症(HCM)と高血圧心(HT)を鑑別する目的でHCM群35名(閉塞型10名,非閉塞型25名), HT群22名,健常対照群(N群)22名に拡張早期時相分析を行ない検討した.拡張早期時相は心エコー図,心尖拍動図,心音図を同時記録し, (1) IIA-O時間(IIA音から心尖拍動図のO点まで), (2) IIA-MVO時間(IIAから僧帽弁開放点まで), (3) MVO-O時間および, (4) MVO-O/IIA-MVO比を測定した.結果: (1)IIA-O時間はN群119±9msec, HT群170±20 (p<0.001, VS N),閉塞型171±34 (NS, VS HT),非閉塞型276±73 (p<0.001, VS HT)であつた. (2) IIA-MVO時間はN群66±11msec, HT群103±13 (p<0.001, VS N),閉塞型83±13 (p<0.001, VS HT),非閉塞型100±18 (NS, VS HT)であつた. (3) MVO-O時間はN群53±9msec, HT群67±14 (p<0.001, VS N),閉塞型89±24 (p<0.01, VS HT),非閉塞型175±68 (p<0.001, VS HT)であつた. (4) MVO-O/IIA-MVO比はN群0.89±0.32, HT群0.66±0.16 (p<0.01, VSN),閉塞型1.08±0.24 (p<0.001, VS HT),非閉塞型1.79±0.71 (p<0.001, VS HT)であつた.以上の結果より, HCM, HT両群とも等容拡張期であるIIA-MVO時間の延長を認めるが, HCMではさらに血液流入時相であるMVO-0時相により著明な延長を認め,このことが両者の重要な鑑別点であることが判明した. MVO-O/IIA-MVO比がN群に比しHT群は低値を, HCM群は逆に高値を示し,特にこれまで鑑別が極めて困難とされてきたHT群と非閉塞型を明瞭に区別し得たことは,本指標が今後両者の鑑別に極めて有用であるものと考えられた.

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