日本内科学会雑誌
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肺動脈原発骨肉腫の1剖検例
清水 満三浦 武土井 義之北村 和夫福田 芳郎
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1983 年 72 巻 8 号 p. 1041-1049

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抄録

肺動脈原発肉腫の報告は極めて少なく,現在までに73例の報告をみるのみである.症例は51才,男性.死亡5ヵ月前より漸時増強する呼吸困難と浮腫を主訴に近医に入院し,心膜炎の疑いにて心膜穿刺術を受け,一時症状の改善を認めたものの死亡1ヵ月前には起座呼吸の状態となり当科へ転科となつた.転科後心タンポナーデ様症状増悪したため,確定診断に至らないまま心膜腔ドレナージ術施行したが,術後低拍出症候群をきたし死亡した.剖検にて肺動脈原発肉腫で,病理組織学的検索により骨格外骨肉腫であることが判明した.肺動脈原発肉腫は非常に希な疾患ではあるが,本疾患の存在する可能性を念頭に置き,適確な診断と積極的な外科療法が現時点では救命しうる唯一の方法と思われるため報告する.なお,肺動脈原発の骨肉腫の報告は世界で2例目,本邦では第1例目と思われる.

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