日本内科学会雑誌
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糖尿病に合併した気腫性腎盂腎炎の1例
崎村 恭也阿部 吉夫須永 隆夫柴田 昭
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1983 年 72 巻 9 号 p. 1218-1222

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抄録

糖尿病治療中に気腫性腎盂腎炎を合併した1例を報告した.症例. 69才,女.主訴:意識障害,発熱,右腰痛.現病歴:昭和46年糖尿病と診断されその後経口血糖降下剤服用.来院4日前より食欲不振,来院当日主訴症状を来す.初診時,意識無欲状態,皮膚乾燥,右腰部圧痛を認めた.眼底Scott IIIa.検査成績:尿ケトン体(+),沈渣白血球多数,血糖636mg/dl, BUN 33.9mg/dl,血液尿培養よりE. Coliを検出した.直ちにインスリン,補液を行ない9時間後には血糖値は300mg/d1台になつた.腹部単純X線写真で右上腹部に放射状のガス像を認めた.同ガスはIVP及びCTで腎実質内にあることを確認したので気腫性腎盂腎炎と診断した.保存的療法で8週間後に腎内のガス像も消失し救命し得た.糖尿病患者に尿路感染はよく経験される合併症であるにもかかわらず,気腫性腎盂腎炎に到る例はきわめて希であり,本邦での報告もわずか5例にすぎない.

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