1984 年 73 巻 11 号 p. 1643-1648
Ia抗原陽性(Ia+) T細胞は免疫学的に活性化されたT細胞と考えられている.全身性エリテマトーデス(SLE)患者末梢血中に非刺激下で存在するIa+ T細胞の動態,ならびに各種リンパ球機能に対する影響について検討を行なつた. SLE患者では末梢血中Ia+ T細胞が病勢に関連して増加し,活動期にはOKT8+ T細胞,非活動期にはOKT4+ T細胞に優位に存在した. PWM刺激によつて,活動期SLEではIa+ T細胞の増加を認めるが,非活動期では増加を認めなかつた.また, SLE患者末梢血中の非刺激Ia+ T細胞はT細胞のmitogen反応性, PWM刺激による健康人B細胞の免疫グロブリン産生細胞への分化に対して,活動期,非活動期では異なつた効果を与えることが示された.以上のごとく, SLE患者末梢血中の非刺激下で存在するIa+ T細胞は単-の機能的T細胞subsetsでなく,各種リンパ球反応に対するeffector細胞として活性化されている可能性が推測された.