日本内科学会雑誌
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Restrictive cardiomyopathyを主徴とし末梢神経障害を伴つた家族性アミロイドーシスの1家系
吉岡 二郎本間 達二古田 精市本郷 実大久保 信一草間 昌三池田 修一柳沢 信夫吉沢 晋一
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1984 年 73 巻 5 号 p. 622-631

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抄録

心室壁の肥厚が著明なrestrictive cardiomyopathyを主徴とし,数年後にポリニューロパチーが認められた家族性アミロイドーシスの1家系を報告する.アミロイド蛋白はプレアルブミン関連蛋白であつた. 2世代3例の発症者が確認されており,今回は2例の心病変を中心に報告する. 2例とも心不全症状で入院した.症例1 (53才,女性)はCTR69%で,洞機能不全を認め,症例2 (60才,男性)はCTR57%で, I度房室ブロックがあつた.心エコー図で両例ともに心室壁の著明な肥厚(心室中隔・左室後壁の拡張末期厚は,症例1では18.0mm, 20.3mm,症例2では22.0mm, 16.0mm)を認め,左室腔は狭小化していた. 2例ともに拡張障害が認められ,収縮能は,症例2が初診時から低下しており,症例1は初診時には保たれていたが, 4年後には著明に低下していた.心カテーテル検査で2例ともdip and plateauは認めなかつた.症例1は4年後に心不全で死亡し,症例2は1年後に突然死した.家族性アミロイドーシスの多くは末梢神経障害を主徴とする家族性アミロイドポリニューロパチーで,その心病変は,心筋の肥厚が軽度で,うつ血性心不全をきたすことはほとんどないとされている.したがつて,本家系は,臨床像のうえから従来報告のない家族性アミロイドーシスと考えられた.

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