日本内科学会雑誌
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尿中N-acetyl-β-D-glucosaminidase (NAG) isoenzymeの分画測定と,腎疾患におけるその測定の臨床的意義
副島 昭典長沢 俊彦
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1984 年 73 巻 8 号 p. 1140-1148

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抄録
Sodio-m-cresol sulfonphtaleinyl-N-acetyl-β-D-glucosaminideを反応基質とする電気泳動による,尿中N-acetyl-β-D-glucosaminidase (NAG) isoenzymeの分画定量法を開発し,本法の基礎的検討を行なつた.その結果,満足すべきNAG isoenzymeの定量性と同時再現性が得られ,また方法が比較的簡便であるところから,同法は多数の検体を取り扱う日常検査への導入が充分可能なNAG isoenzymeの分画測定法であると考えられた.本法を用いた血清,尿,腎homogeneteのNAG isoenzyme測定成績の比較から,尿中NAGは腎組織由来で,病変のある糸球体においても血中よりNAGが尿中にleakする可能性はほとんどないものと推察された。一次性・二次性糸球体腎炎例および間質・尿細管病変例について尿中NAGをisoenzymeの面から検討し,尿中NAGの由来が尿細管上皮細胞のみならず,病変糸球体そのものにも由来する可能性を明らかにした.また糸球体病変群と間質・尿細管病変群との比較から尿中NAG isoenzyme Aは糸球体病変に, NAG isoenzyme Bは間質尿細管病変にそれぞれより高い相関を有するものと考えられた.
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