日本内科学会雑誌
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慢性関節リウマチと全身性エリテマトーデスの重複に,不全型Marfan症候群を合併した姉妹発症例
田内 美津子安間 美津彦橋本 博史広瀬 俊一
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1985 年 74 巻 11 号 p. 1573-1578

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抄録

慢性関節リウマチ(RA)と全身性エリテマトーデス(SLE)の重複症例や,家族内発症例の報告は,膠原病の病因,疾患相互の臨床病態の関連性を解明する上で貴重と思われるが,我々はRAとSLEの重複に加えて不全型Marfan症候群を合併した姉妹発症例を経験した.症例は23才と21才の姉妹で他に同胞はなく,母親に甲状腺機能亢進症の既往を認めた他,血縁に自己免疫疾患, Marfan症候群を認めなかつた. 2症例はそれぞれ13才, 16才で多発関節痛を初発として発症し,入院時ともに指骨間関節,膝,手,肘,足関節等の疼痛と腫脹を訴え,当該骨にX線所見でstage IVの所見を示した.検査所見でともにRAHA test, RA test, LE cell,抗核抗体,直接および間接Coombs testが陽性で血色素尿を認め,腎生検組織所見で姉にfocal lupus nephritis,妹にmembranous lupus nephritisが認められた.また心臓超音波検査で肺に僧帽弁の粘液腫様変化,妹に僧帽弁逸脱があり,体長測定でともにmetacarpal indexの増加(8.5以上)を認めたが眼科的異常を示さなかつた.家族内因子の検索は母親にRAHA test, RA test, microsome testが陽性で,母親と姉妹にHLA-BW 35,母親と妹にHLA-DR4を認めた.この様に本症例は膠原病の家族内発症,疾患群の臨床病態の関連に加えて,疾患の場を同じくする自己免疫疾患と先天性collagen代謝異常の関与も考えられるMarfan症候群との関連等,数々の示唆に富む貴重な症例と考えられた.

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