日本内科学会雑誌
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遺伝性メトヘモグロビン血症の1家系
中西 信輔井上 純一野村 正博網岡 逸男石田 明柴田 醇前田 種雄赤木 笑入中川 昌壮
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1985 年 74 巻 12 号 p. 1682-1686

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抄録

チアノーゼを主訴とした精神発達遅延の患者を発端者とし,遺伝性メトヘモグロビン血症(以下遺伝性Met-Hb血症)の1家系を発見したので報告する.症例は22才,女.両親血族結婚.生下時よりチアノーゼあるも心肺異常なし. IQ 32.血色素吸光度曲線で630nmにMet-Hbのピークを認め20.9%と定量された.家族の検索でチアノーゼのない同胞1名は正常,両親はMet-Hb正常でNADH-ジアホラーゼ活性50%,患者とチアノーゼのある同胞2名はMet-Hb高値でNADH-ジアホラーゼ活性20%, GSSG-リダクターゼ活性50%であつた.遺伝性Met-Hb血症の報告は250例あるが精神発達遅延合併は12~16%にすぎず, NADH-ジアホラーゼとGSSGリダクターゼの活性低下はBianchi-Scarráの報告があるのみである.

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