日本内科学会雑誌
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胸部異常陰影で発症し多彩な全身病変を呈したBehçet病の1剖検例
村田 嘉彦平松 まき川尻 克彦小泉 博史佐藤 信英綱川 省三
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1985 年 74 巻 12 号 p. 1692-1698

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抄録

症例は36才,男性.昭和50年6月に扁桃炎,関節痛と著明なASK高値を呈し, 53年3月には血痰,胸痛と胸部浸潤影を認めた.その後Behçet病の主症状が出現し胸部異常影の出没をくり返し, 58年2月には左肺動脈下幹の動脈瘤が合併し大量喀血を伴つた.この他血栓性静脈炎,脳幹部萎縮,回腸終末部の多発性潰瘍なども出現し, 58年10月敗血症で死亡した.病理解剖にて橋を中心とする神経Behçet病,血管Behçet病としての下大静脈閉塞と肺動脈病変を認めた.溶連菌感染後にBehçet病が発症した点はその病因を考える上で興味深く,また肺病変がBehçet病の主症状に先行した例はまれであり,貴重な1例と思われた.

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