日本内科学会雑誌
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心筋梗塞におけるnifedipineの運動負荷時血行動態への効果についての検討
福井 須賀男谷明 博加藤 修濱野 裕南野 隆三
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1985 年 74 巻 5 号 p. 558-563

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抄録

Nifedipineの運動負荷時血行動態への効果を検討するために,心筋梗塞20例(全例男性,平均年令56.8才)を対象にnifedipine 10mg舌下投与前後で自転車エルゴメータによる運動負荷試験を行ない,血行動態を評価した.その結果, (1)nifedipine非投薬下の負荷試験において,負荷終点では心拍数(HR),心係数(CI)は有意に増加し(p<0.05),平均血圧(MAP),肺動脈楔入圧(PCWP),平均右房圧(RAP)は有意に上昇した(p<0.05).一方,左室1回仕事係数(LVSWI)は軽度増加にとどまり, 1回拍出係数(SVI)は不変であつた. (1)高令者,再梗塞例, asynergyの高度な例,大きい梗塞例ではPCWPの上昇が著しかつた. (3)nifedipineの投与により運動負荷終点での症状が悪化した例はなく, 3例で改善した. (4)投与前に比し, nifedipineの投与後の運動負荷終点ではMAP, PCWP, RAP,体血管抵抗(SVR)は有意に低値であり, HR, CI, SVI, LVSWIも増加し, nifedipineは運動負荷時の心ポンプ機能を改善させた.

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