日本内科学会雑誌
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著明な低補体血症を伴つたimmunoblastic lymphadenopathyの3例
松野 一彦森 啓新倉 春男寺田 秀夫
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1985 年 74 巻 5 号 p. 564-570

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抄録

Immunoblastic lymphadenopathyでは,各種自己抗体の出現が知られているが,補体に関する記載は少ない.著明な低補体血症を伴つたimmunoblastic lyrnphadenopathyの3例を経験したので報告する.症例1は63才の女性で,全身倦怠感,リンパ節腫脹,発熱を主訴に入院.軽度の貧血と血小板減少あり,直接クームス試験. Bence Jones蛋白陽性で,補体はCH503.4U/ml, C320mg/d1, C43.8mg/dlと低下していた.治療に反応せず肺浸潤による呼吸不全で死亡した.症例2は79才の男性で,血小板減少しクレアチニン3.2mg/dl,抗核抗体陽性で,補体はCH50<12U/m1, C3<IOmg/dl, C46mg/dlと低下し,腎不全と敗血症により死亡した.症例3は77才,男性で,貧血,血小板減少,網赤血球増加あり,クームス試験,抗平滑筋抗体およびimmunecomplexが陽性で, CH5011.2U/ml, C325mg/dl, C413.6mg/dlと低下した.ステロイド治療に反応するとともに補体は改善し,寛解後正常化した.入院時C3・C4は免疫活性および溶血活性ともに低下し, C3activator, C9にも低下がみられた. 1982年までに本邦で報告されたimmunoblastic lymphadenopathy187例中補体の低下は11例で記載されており,重症が多かつた. immunobiastic lymphadenopathyにおける補体の低下は,病勢を良く反映していると思われ,治療に反応すると改善がみられた.本症の補体低下の機序については不明であるが,免疫機序を介しての補体の消費が最も考えられた.

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